TakuoAoyama

わたしは光をにぎっているのTakuoAoyamaのネタバレレビュー・内容・結末

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

試写会にて。

中川監督、中井さん登壇。監督の文学的な言い回しから知性を感じていたら、桐蔭高校→慶応大学文学部卒とのこと。さすがね。

商店街や路地裏の旅館、銭湯、スナック、八百屋、中華そば屋…等々。

再開発により失われる古き良き街並みのアーカイブ。

長野県の野尻湖や神奈川県の登戸と、葛飾区立石の街並み、東京都清瀬市の伸光湯。
映画の舞台と監督のバックグラウンドを見事にシンクロさせた、"場所"をテーマにした現代版「翔べない時代の魔女の宅急便」

特に告知もなく、ミカン湯にした日にアレルギーがひどかったらどうするのよ!って銭湯に怒鳴りこんできた母親が印象的だった。
端から見ればただのモンペも、生活に密着してるいるからこそ故の行動。

渋谷の再開発は進むが、噂が続く三茶の三角地帯の取り壊しは果たしていつ実現されるのだろうか。。失くなって欲しくない景色や街並みがそこにはある。

「映画館と銭湯は似ている。」という監督のコメントが頭から離れない。

真っ暗な中の他人と共有する空間と真っ裸で他人と共有する空間。

うちでも外でもない波打ち際。

人類の進歩は勿論大事だが、画一的な施策がこの曖昧な空間を無くしてしまうのが切ない。

主題歌「光の方へ/カネコアヤノ」
TakuoAoyama

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