盗撮ビデオの映像からしゃがんだ白いハイヒールとタンポン。冒頭からあまりにもかっこよすぎる。盗撮と盗聴の出会い。潔癖症の女が汚物に塗れるレイプシーンでは丁寧に吐瀉までやりきる中村京子。新宿とビデオテープとモニター、いつものアイテムを使ってまだまだ興奮させてくれるのすごい。寿保・伍代の作品のなかでもベスト級に痺れた。白黒赤のハイヒール。絡まる黒いビデオテープ。部屋でひとり自撮りする森村あすかの映るモニターがガラスのテーブルに反射するシーンも素晴らしい。ナイフの突き立てられた赤いヒール、近親相姦。アキレス腱から流れる血と、取り残されて盗撮に戻る屋上で股から流れる血。END

atシネロマン
「盗撮 レイプの瞬間」

盗撮をしている少女と盗聴をしている青年。青年は姉が強姦されたその光景が忘れられない。震えるほどのショックが性的な興奮へと流れていく。見知らぬ男にアキレス腱を切られ犯された姉、その赤い血が流れる赤いハイヒール。それはつまり、新宿歌舞伎町ディスコナンパ殺傷事件から『少女暴行事件 赤い靴』の残響。
ビデオカメラを回し続ける少女とブラウン管テレビに浮かび上がる荒いビデオ映像。屋上に立つセーラー服の少女。セックスカウンセラー（精神科医）、テレビからの光が「鏡」に反射している。部屋中に巻き散らかされたビデオテープ。地の底から聞こえてくるノイズ。キャメラに向けるおもちゃの銃。都内の一室での異常な性行為を離れた場から覗き見している、その達観。なにもかもどこまでも佐藤寿保の世界。ここまで佐藤寿保の作品を熱心に追いかけてきたキチガイにとっては掘り当てた財宝のような映画。
倒錯したポルノに視覚を刺激する様々なアイテム、物語ではなくそれぞれの感情で繋げていく。「虚構」でしかない関係性だがビデオカメラ越しの映像は私とあなたの「リアル」。日常と非日常の境目で常に勝負している作家。徹底しているから強い。陰部をまさぐり、Ｘｃｅｓ仕様の長すぎる濡れ場、露骨な性描写ありきでここまで「映画」を感じさせてくれる作り手もそうそういない。平日の昼間っから場末のポルノ映画館で昭和のエロスを求め集まった老人の勃たない陰茎からの饐えた臭いをナチュラル4D体験として真顔でスクリーンと向き合う佐藤寿保の至極の表現。堪能した。

• #シネロマン池袋

ゴミまみれで奮闘する中村京子、森村あすかも素晴らしかった。ミカリ・カイリな姉弟の今泉さんのボーダー、お姉ちゃんのソバージュの毛量。映画よりロビーで盛り上がる常連客がこの日いちばん沸いたのは、同時上映の山本晋也監督のポルノパシーでユリゲラーがスプーン曲げた瞬間でした。