新たなリラクゼーションとして、VRゴーグルのような奇怪な装置を身につけた女性のバーチャルセックスからはじまる、佐藤寿保濃度100%の表現。佐藤寿保ポルノの大半は近未来SFのSM。
内気な女性が、その異様な器具により奇しくも脳が覚醒してしまい、これまで抑え込んできた恨み怒りが爆発し、蔑み尊厳を踏みにじってきた者たちに復讐していく。
だが、この物語(シナリオ五代響子)が示すのは、彼女一人が不満を抱え込み豹変したという単純な話ではなく、私たちの社会そのものが女性に対して不平等であり、生きづらい構造を孕んでいるという図式。
欲望に正直になれるマシンは、あくまで「きっかけ」に過ぎない。彼女たちが立ち上がるのは当然の帰結であり、仕事もセックスも受け身でしかなかった立場からの反撃として、女性を見下し続けてきた男性社会に対して明確に「暴力」で抵抗していく。
だからこそのラスト、虐げた者も虐げられた者も、共通の敵は偏った世界にあぐらをかいている傲慢な男性であり、女性たちはバイブ片手に仲間を増やし共闘していく。目的は個人的な復讐から女性の真の解放へと⋯。そんな見方をしていくと、ごりごりのポルノではあるが、とても現代的な「女性映画」のような気もしてくる。
音が遮断されたスタジオにゴーグルをつけた裸の女性がビデオテープでぐるぐるに巻かれている、口にはバイブが突っ込まれ、その姿を二台のモニターでこちらから観察している終盤が最高。あの狂気的な画だけでも十分もとは取れる。
年末にポルノ映画館で佐藤寿保。これが俺の映画道。黙々と貫くのみ。

「変態折檻 ねじり込め！」
ブレインウォッシュ

シネロマン池袋

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