冒頭でプール前に立つ主人公を捉えた数ショットを観て、ああ心情に寄り添える丁寧な映画だと安心した。
良かったのが主役の父娘の設定が『ちょっとスランプ気味?の水泳選手と最近距離のできた元コーチ』である事で、これがドラマ面でも見せ場の面でも活きてくる。土壇場でその設定が完全にそのまんま活用されるのが凄い。『お前は最強捕食者だ!』『私は最強捕食者よ!』強烈なパワーワード。
本編の半分程が家の地下での苦闘になるのだけど、飽きさせない創意工夫をきちんとしているのが好感を持てた。
とにかくワニを予期せぬタイミングでドーンと出す!という演出の信念にもまんまと乗せられる。ワニの生態を細かく研究しているのも伝わってきて、ワニが獲物に噛み付いてグルグル回転するあの動きがダイナミック&エモーショナルな使い方をされていてここでは思わず感動した。あと尻尾が良い。
肉体破損のディテールの生っぽさや女子供も容赦なく殺す辺りがアジャだなぁとしみじみ。