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パラサイト 半地下の家族のapapattiのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

かなり細かく構成は練られていて、話の進行上の演出はとてもスムーズだった。

ロケーションと登場人物がかなり絞られていたので、わかりやすいように作られている映画だと思う。

貧富の家族それぞれ、話術や機転が利くというかなりキレものであったのに、生まれの違いでこんなに待遇に差が出るのか。
能力的には富裕層のバカ嫁より秀でてる部分が多かったのだろう。
もう2家族養えるくらいの富の差。これがどこからきてるのか、それは描かれていなかった。
これはもしかすると貧困層でもインターネットにアクセスできる以上、一定量の教養は得られる、という示唆だったのかもしれないが、それにしても執事として実質的にこなせるタスクの質を考えれば、金持ちの家で執事をすることに対して全く問題ないレベルの教養・技術というのはそう簡単な話ではないはず。

貧困層でもこれくらいの能力はある、むしろ富裕層は無防備でポンコツであるという悲運のめぐりあわせを描いているのか、たまたまスキルがかみあった貧困層からの弱者の一撃という痛快さを書いているのか、どちらが主軸かがやや判断に迷うところである。
なんらかの社会的なメッセージが強く乗っているように感じるが、それが何かを僕が読み解けなかったという点においては、ピンぼけしていてあまり素直に面白いと感じられなかった。最後、結局金持ち夢想オチであったことを考えると、それでも変えられない生まれの構造という話なのだろうか。

最後失神しただけの息子を、ナイフで刺された人たちより優先するとか、どれだけ逼迫した環境でもにおいがダメとか、富裕層の欺瞞的なシーンはかなり色強めに描かれていて、彼らに対する好意的なイメージはなかった。けど、それで刺すのかな…。無敵の人にロジックは通用しないという点でいうと、韓国でも日本でも構造的には同じなのかもしれない。

しかしよく反芻してみると本当に構成はよくできていて、無駄な演出とか、半端な伏線みたいなものがなく、ちょうど出来事と出来事がうまくつながっているので、かなり細かく描写を思い出せるようにできている。

一個やや浮いてる要素としてはあの霊験あらたか?な石で、なんで長男があれをもって地下室に降りたのか、最後川に沈めたのは何だったのか、とかなんかいろいろどよくわからない。幸運の象徴として、という話であれば、半地下で浸水した時点で例えば割れてるとか、現状を示すような動静があってもよかったと思うが、そういうわけではなかったし。
俺はふさわしいか?って言いながら石をもって地下に降りて行ってから、ええと、、、いや、やっぱりわからない。地下の二人を例えば殺そうとしていたとして、その石を使う必然性は今のところ思いつかない。

一方でなんか逆流するトイレを抑えながらタバコをふかす姉ちゃんはかっこよかった。よく考えたらあのシーンもなんなんだって感じはするけど。半地下の象徴?
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