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パラサイト 半地下の家族のハムのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

3幕構成の悲喜劇

1.
パク社長の家にギウ、ギジョン、ギテクが侵入するまで
母親までをも引き入れるために現家政婦を追い出すまでの下りが凄くスタイリッシュに描かれていて好き

2.
パク社長一家がキャンプに出かけ、一家で豪邸暮らしを楽しんでいたところ、運悪く戻ってきてしまい脱出するまで
前家政婦ムングァンの予期せぬ訪問により、豪邸には地下シェルターがありそこにはムングァンの夫グンセが住んでおり〜など、物語は全く予期せぬ展開へ
(モノクロで観た時に思ったのが、脱出して自宅に帰る時に下る最初の階段のところ、ウェス・アンダーソンぽいなと。平面的な画面構成と垂直移動)

3.
ダソンの誕生日キャンプがダメになってしまったことから、翌日急遽開かれたパーティとそこで生きる悲劇
ギウ視点での後日談まで

対照的、あるいは反復するように描かれる演出
・家族愛
→ギテク一家は半地下でも豪邸での束の間の贅沢でも一家で食卓を囲む。パク社長一家が家族で食卓を囲むシーンは描かれない(どころか、ドンイクは1人でカルビチムを食べに行き、ヨンギョは1人でジャージャー麺を食べ、ダソンは1人でケーキを食べている。ダヘに至っては「何で食べるか聞いてくれないの」と)
→ギテクから「愛してますもんね」というセリフが出る度に言い淀むパク社長

・ギウとミニョク
→ミニョクからダヘへの想いを聞いていたにもかかわらず、ギウは自分もダヘを好きになり家族の前で「ダヘが大学生になったら」宣言
→ラストシーンの「根本的な計画」をギウが夢想するシーン、髪型や服装がミニョクに寄せられている

・ダソンのトラウマ
→幽霊事件のトラウマはラストシーンにより克服ならず

・「におい」
→最初に気づくのはダソンだが、以降、微妙な仕草から「におい」を感じとっていることが分かってしまう

コミカルなシーン
・ギテク(ソン・ガンホ)に、「計画」に沿った演技の練習をギウがさせているところ(「愛にイナズマ」を思い出した)
→ソン・ガンホのこの扱い

・ギジョン侵入時、チャイムを押す前に、暗記した設定を歌でギウと復唱

・8分ジャージャー麺
→裏で大変なことも起こってるんだけど、それを中和するようなコミカルさ

・気まぐれセンサー
→これもエグいんだけど、グンセ役の人の演技が絶妙で観ている時にはシリアスな気持ちになりすぎないバランス(「リスペクト」はこの年の映画的流行語大賞では)

コミカルなシーンがなければ重い印象の映画になるところ、このバランスが凄く好き。ポン・ジュノの映画ってコミカルなシーンでは意図的に音楽を大きく流している気がして、「ここは笑ってね」みたいな

観る度に気づくこと、面白いと感じることが増える映画だと思う
3人の再会が実現するとよいな
ハム

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