このレビューはネタバレを含みます
先の読めない巧みなストーリー展開により終始惹き込まれるこの映画はやはり本物。
今回は2回目の鑑賞だった為、朧げに内容を覚えてはいたが常に緊迫感や臨場感を味わえた。
それでいて、ただストーリーが面白かったの一言では終わらせてはいけない程に韓国における格差社会を風刺したブラックコメディにもなっている所が本当に凄い。
また、本作で石を通して何度も登場する「象徴」という言葉からもわかる通り様々な要素でその貧富の格差が象徴されていた。
「高低差」(高級住宅、半地下、地下)によって富裕層と貧困層の対比を表すシンプルな構図。
「匂い」（幾ら身分や身なりを着飾っても消えることのなく染みついた半地下の貧乏臭）によってどれだけ努力しても貧困からは抜け出せない現実を暗喩。
「洪水」によって生活や計画の全てが貧困層は破綻する一方で富裕層は何も気にせず優雅に誕生日パーティーをしているというあまりにも辛い現実を表現。
「学歴」によってどれだけ素晴らしい能力を持っていたとしても嘘で塗り固めなければ職にすらありつけない悲惨な韓国の超学歴優位社会そのものへの風刺。
このように細かいながらも秀逸な対比要素が多く散見される。
見れば見るほど違う観点で新しいことに気づける”するめ映画”の本作をまたしばらくしたら鑑賞したい。
最後に、お金の余裕は心の余裕というのは真の命題であると私は確信している。
鑑賞日
2021.1/8
2023.1/13
