このレビューはネタバレを含みます
もはや、リアリスムファンタジー。
大雨の夜、ソウルの小高い丘の上の豪邸から逃げるように、水が濁流で落ちていくように、家族が下へ下へと降りていく画が美しすぎて、胸のドキドキワクワクが限界突破しそうだった。
上と下への構造を徹底的に作り込んだ画は、ソウルという坂だらけの街に、異世界という形で市民の分断を浮き彫りにしてみせてくれた。センス・オブ・ワンダー。
とにかく、編集がおしゃれすぎるし、音楽とのマッチは職人芸。こんな映画を観ていて、たのしくないはずない。計算しつくされたシンボリックな美術、登場人物造詣には舌を巻く。
めちゃくちゃ好みとか、ポン・ジュノの最高傑作とは思わなかったけど、現時点での世界最高水準の映画であることは間違いなく、観ているだけでとてもたのしかった。
以下、自分用メモ
・最初のギアチェンジ:元家政婦が訪ねてきて、豪邸の下の地下室が明らかになる(自分たちと同じ部類の人間の登場人物)
・2つめのギアチェンジ:大雨の後→2つの家族の構造的分断が冷酷なまでに明らかになる。
上記2つのギアチェンジを経ることで、クライマックスへの準備が万全となり、祝祭的な盛り上がりを迎えることが可能になる
・半地下で電波が入らなかったファーストシークエンスが、豪邸の地下で伏線回収されたのがめちゃ気持ちよかった