昨年から過大に期待していた本作、殺人の追憶からポン・ジュノ作品の奥深さを知った口ですが、今回も的確な面白さでした。
ソン・ガンホの飄々とした演技が重苦しさを排除して、ユーモアに溢れる作風がとてつもなく観やすくしてくれる。
韓国に何故半地下の住居が多いのかを理解し、何故そんな場所を住処にする家族が居るのかを理解しておくと更に作品の意味が読み取れます。半地下の窓から覗き見る外の世界と、高級住宅のリビングの巨大な窓から覗き見る外の世界のギャップがとても印象的。
テーマは絶対的な貧困と格差。それに「パラサイト」する事で得られる刹那的な逆転。それは激しく降りしきる雨の中で行われますが、それを機に現実にも引き戻される。翌日の立場の違いの切なさよ!
そして、それぞれの立場でしか知り得ない「無自覚さ」が物語の大きな転機を迎えます。誰にも善悪を決めることは出来ない。