大学入試に失敗し、フリーターをしているギウは、ある日、これから留学する友人からアルバイト先を紹介される。自分が教えていた山手の女子高生の家庭教師をしてほしいというのだ。大学生のふりをして出かけたギウは、奥さんにも気に入られ、大金を手にする。味をしめたギウは、さらに妹に美術教師、父親に運転手、母親に家政婦の口を斡旋し、ついに家族全員で豪邸に入り込み、耐乏生活から脱出しようとするが…というお話。
まず、半地下という韓国特有の生活様式に驚く。それから、我が国以上の貧富の落差、大学を出ても仕事にありつけない者がいる一方、豪邸で使用人たちを雇い、贅を尽くした生活をしている者がいる。やや、現実離れしたところもあるが、ソン・ガンホらの名演で緊張感が途切れない。特にリビングからの脱出シーンは見応えがある。終盤の急展開、しっかり伏線回収するオチのつけ方はさすがである。寓話的で深い一方で、しっかり娯楽作品として成立している。文句無しのパルムドール受賞だと言って良いだろう。
