「ウソ臭い。」
安いエンタメ映画のような導入だった。だから少し安心してしまった。「どうせ展開は読める」と高を括れた気になっていた。どんどんどんどん話はありがちな、嘘を誠にするストーリーの様相を呈していく。でもどうせどこかでバレて胸糞悪く終わる。そんなつもりで観ていると中盤で何かが壊れていく。その期待を裏切るタイミングが絶妙だった。
全体的にエンタメとしてのバランスがよかった。
一番は、世相に則り、ちょうどありそうなサスペンスだったこと。行き過ぎない設定から、ありがちなストーリーテリングを経て、人が狂う出来事がちょうど良い物珍しさで起こる。楽しい。
あと、貧富の格差に切り込んだみたいなことが嘯かれているけれども、この話における貧富は、話を二元論的に切り分けてわかりやすくおもしろくするために用いた装置のようなものにすぎないと思う。
韓国も北朝鮮のニュース揶揄するんだなぁとか、そりゃそっかって思える小ネタもよかった。
お父さんが取り繕おうとして咄嗟に出てきた「運転手は孤独な男と旅に出る仕事」みたいなことを言ってたのは台詞回しでの乙ポイント。