｢ああ面白かった｣以外の感想はすべてネタバレになりそうな気がするので注意が必要だ。
冒頭から他所様のwifi電波を拾うため半地下住居をうろつき回る堂々のパラサイトっぷりをみせるキム一家(全員失業中)は４人家族。
この一家が、同じ４人家族ながら、お手伝いさん付きの豪華邸宅に住むIT企業の社長一家に次々と寄生していく冒頭40分がまず楽しい。
計略を巡らす長男と、大胆なアドリブで応戦するその妹に比べ、成りすましが板につかない親父と、何かと大雑把なオカンがだいぶ危なっかしくて笑える。
ここから先は、かん口令。
けっしてストーリーがわかったくらいで面白さを損なう映画ではなく、むしろ２回目の鑑賞のほうが楽しめること請け合いだけども、予想の斜め上を行く展開を説明するのも野暮なので自粛。
身分を偽っても｢臭い｣は誤魔化せない。
自分がどんな｢臭い｣を放っているか、自分で気付くことはできないから。
数ある悪口の中でも、口臭や体臭などの｢臭い｣に関して言及されるのがヒトは最も傷つく、というのを聞いた事がある。
生活水準を含めた自身の存在自体を蔑まれたようなものだから心に突き刺さるのかな と、この映画を観て想った。
セルフィッシュな人間ばかり登場するこの殺伐とした物語の中で、ソン・ガンホ扮するダメ親父が自分の代わりにクビになった運転手が再就職出来たかどうかを心配するちょっとした描写が好きだ。
何かと｢自己責任｣で片付け、他者への心配りを持とうとしない風潮に疑問を呈するポン・ジュノの視点をそこに感じる。
