『最小単位で最大のコントラストをもたらす作品』
絵に描いたような2つの対照的な「家族」によって描かれる格差。
シンプルな入り方、描き方で笑いも含ませながら世界で共通するダイナミックで闇深い問題を体現するインパクトがとてつもなく印象的。かつ全てが計算し尽くされた手法は見事。
格差は分かりやすい部分と深い闇の部分が混在しているが、テーマは一貫しているため、観客を置き去りにすることなくストーリーが展開される。また家や食べ物など生活様式だけでなく、地理や天候、可視化できない微妙なニュアンスなども象徴的な手法で組み込まれている。
後半に進むにつれて、前半との狭間に観衆が引き込まれていくよう「計画」されていて、細部の違和感が浮遊し続けるなか、最後には独特の余熱が漂い、しっかりと記憶に刻まれる。
どのジャンルにも当てはまりそうで、当てはまらない映画。
