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パラサイト 半地下の家族のMrTomatoheadのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
5.0
2019年に観てたら圧倒的第一位だったな。
っていうのも今現在作品賞取ってる前提があったからかも知れないが、、、。
良いと思って観ちゃうからなぁ、、、。笑笑

半地下という貧乏生活を送っていたキム家がひょんなことから大豪邸に住むパク家に徐々に寄生していき、格差という問題に殺害という形で一石を投じる。その中で、地下に住む最下層の人間と出会い、可哀想だがどうにかしてやれないもどかしさを抱える。しかし犯罪に手を染めてしまったことは罪であり、報いを向けることになる。
正直言ってどうしようもない物語。

この作品の大きな見どころはやっぱり大豪邸に徐々に寄生していくシーン。
スパイ映画さながらのテンポの良い機転とトリックがシンプルに楽しめる。

格差。色々な表現の仕方はあるけど、メタファーが深い。
"上と下"、この描写が物理的に格差を表してる。

例えば"階段"、"坂道"。
上層階級のパク家に徐々に寄生していくキム家は坂道を登り、階段を上がる。
窓のある半地下で生活をしていた下層階級のキム家は上層階級のパク家の豪邸の地下で暮らす最下層の人間に階段を下りることで出会う。
自分らよりも文字通り"下"で生活している人間に出会い、半ばキム家は中流階級にでも昇格したような感覚だった。

インディアン。
なんでまたインディアンが出てくるんだろうと思ったけど、インディアンはヨーロッパの侵略にあったことで、この描写が"侵略されるものの象徴"となる。
パク家(インディアン)がキム家(ヨーロッパ)に侵略されるという構図。

石。
幸運を呼ぶ石として金持ち連中からは価値のある神秘的な存在だが、下層階級のキム家にとっては殺害するためのひとつの道具、あるいは川の石ころ同然の価値しかない。

におい。
キム家の大黒柱ギテクは自分らでは気付かない"半地下の匂い"、下層階級のにおいに差別的な行動を取るパク家の大黒柱ドンソクに報復することになる。

罪と罰。
結局罪を犯したらそれ相応の報いを受けなければならない。
パク家はキム家から報復を受け、キム家は地下で暮らしていた人間から報復を受ける。
パク家の下層階級を顧みない態度や行動は実に腹立たしく感じるが、キム家も大豪邸でパク家がキャンプに行ってる間にパーティーしちゃうあたり刹那的な衝動に駆られるなんとも哀れな存在と見て取れる。
最終的には、犯罪を犯したキム家ギテクは、警察に出向くことではなく、半地下からさらに格下げされた地下で生活するという形で自分がやってしまったことへの報いを受ける。
ギテクだけでなく、キム家のそれぞれが犯してしまった罪の報いを受ける。

上層、下層、最下層という格差の中で様々な思惑が入り乱れ、みんながみんな幸せにはなれないラストを迎え、観賞後は腑に落ちないようでどこかスッキリするようななんとも不思議な映画だった。
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