脚本も演出も俳優陣の演技も間違いなく最近見た中で抜きん出てる。何よりも貧困描写のリアルさが突き刺さった。韓国の貧困事情は詳しくないけど貧富の格差を思い知らされた。
あまりに何でも信じ込む奥様は何もできず判断も他者に委ねてばかり。優しくて明るいけど、運が良く社長を捕まえれたから今の幸せを確立してる。対して半地下の家族はそれぞれ能力があるものの貧困故に越えられないハードルがある。この皮肉も痛烈だったな。貧困層の苦しみや辛さはちょっとやそっと勉強すれば改善されるものでない。これが現代社会の象徴なんだろうな。あまりの辛さに私も涙した。
俳優陣の演技が本当に良かった。特にお父さんの目の奥から負の感情をひしひしと感じた。人生に対する無力感、やるせなさが絶妙で…ジェシカのタバコ吸うシーンなもやたらとエモくて良かったな。
印象に残ってるのは町の消毒に窓を開けっぱなしにしてたシーン。乗っかって便所コウロギを駆除するはずが自分達も苦しむ羽目に。中盤で豪邸の地下に住む家族を追い払うつもりが最終的に自分達も大打撃を喰らうことの暗喩と感じた。
また、前半はクスっと笑えて楽しめたが後半になりシリアスになるのも対照的で飽きることなくよかった。伏線の嵐なのも映画好きには嬉しい。感じる事や考える事が多すぎて観賞後は脱力したけど、間延びせず最後まで面白かった！メタファーが散りばめてられてるけど全然気づけなかったのでまた見たいな。
