このレビューはネタバレを含みます
貧しくても、半地下での生活を楽しんで暮らしている愉快な一家からストーリーは始まったのに、ある裕福な家族と交わったことをきっかけに、徐々にとっても恐ろしくて悲しい結末にたどり着いてしまった。
観た後、しばらく余韻に浸ってしまう…。
貧富の差もそうだけど、落差を描くのがとても上手だなぁ、と思った。
音楽の使い方や、間の取り方も絶妙で、引き込まれてしまう。
大雨で半地下の家が浸水して大変なことになって、避難所で雑魚寝をしている家族がいる一方で、大雨の影響は全く受けず、むしろそのおかげで翌日晴天でよかったわって優雅に笑ってる家族がいて、皮肉で何とも言えない気持ちになった。
貧しくても慎ましく、家族皆で笑って生きていたはずなのに、社長一家のことを優しい素敵な家族だって言ってたはずなのに、自分の臭いについての社長の話を聞いてしまったことや、社長夫婦のセックス中に子どもとテーブルの下に身を潜めていなければならない状況、やっとの思いで社長の家から抜け出して、大雨の中浸水した我が家に走って帰る状況…、そういったことでお父さんは自分のことがすごく惨めに思えて、やり切れなくなって、咄嗟にああいった行動に走ってしまったのかなぁ…と思うと、とてつもなく切ない。
演技もすごくて震えた。
面白かったなんて、簡単な言葉じゃ決して表現しきれないけど、確実に観てよかったと思える映画だった。