このレビューはネタバレを含みます
格差を描いた作品と聞いて、もっと重苦しくどろっとしてるかと思った(万引き家族みたいな)案外コメディタッチだったので暗くならなかった。
全体の描写はまあまあ、と思って見てたけどただひとつ、お父さんが金持ちオヤジを刺したのは「俺たち洪水で苦しい思いをしてるのに呑気にパーティの心配か！」という感じが余りにも理不尽だった。しかし、お父さんの気持ちがわかるので、葛藤が生まれる良いシーンだなと思った。
よく持ってる人の中で「貧しいのは努力しないからだ」といったことを言う人がいる。
確かに間違ってない。
しかし現実そんなに簡単に割り切れる物でもない。
生まれてくる場所は選べず、育ててくれる親すら選べないほんとに
ガチャみたいな人生。
しかしだからと言って腐ってしまっては本当に地獄。
幸福の基準=お金ではない
持ってるもので満足できるかどうかだ。
それも一つの真実だと思うけど、美味しいものが食べたい、欲しいものを躊躇せず手に入れたい。そういう当たり前の願望みたいなものから解放されることは難しい。
あまりにも情報も物も溢れてしまってる世の中だからだ。
自分自身貧しい側の人間で、それなりに苦労も諦めも経験した。
家族関係もロクなものじゃなかった。
それでも理不尽に金持ちが殺される描写には、憤りを感じた。
己の正義で裁いていいものなんかあってはならない。
裁くなら、裁かれ
許せないものは、許されることはない。
常に自分に折り合いをつけていくしかない。
誰が不幸になったって、自分が満たされることなんかひとつもない。
誰も幸福にならない架空の世界の話が、皮肉にもただただ現実を語ってる気がした。
