KnightsofOdessa

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 完全版のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

4.5
[マックスとヌードルスの50年片恋慕] 90点

大傑作。セルジオ・レオーネ遺作、"ワンス・アポン・ア・タイム"三部作の終章。次作はレニングラード包囲戦の話を描こうとしていたが、市内のスナイパーが撃った銃弾が戦場を抜けて敵軍に至るという超絶金かかるド頭の長回し以外ノープランだったらしく、そのままレオーネが亡くなってお蔵入りとなった。本作品は西部開拓時代(『ウエスタン』)からメキシコ革命(『夕陽のギャングたち』)を経て、アメリカの現代史、つまりNYマフィア抗争を描いている。冒頭30分で既に大作の終幕くらいの盛り上がりを見せるが、実はまだロバート・デ・ニーロと死にかけのおっさん以外は誰も登場してないという凄さ。物語はデ・ニーロ演じるヌードルスとジェームズ・ウッズ演じるマックスの友情を描いている。母親に甘やかされて育ったせいで幼少期に男友達が少なかったから後の作品で滾るような漢の友情を描いてきたとどこかで読んだ気がするが、今回の友情は実に歪だ。マフィア叙事詩にしては野心が欠けるヌードルスと、野心むき出しでのし上がるマックスには認識に齟齬があり、それでもヌードルスに振り向いてほしいマックスは、彼の持ち物を全て奪い去り、"お前には俺しかいないだろ"と迫るが、それでもヌードルスは振り向いてくれない。ヌードルスもヌードルスで、初恋を拗らせているんだが、物語の推進力以上の興味はなさそう。

デボラと貸し切りレストランで踊るシーンがマックス・オフュルスっぽい。彼ならもっと狭い会場を選ぶと思うが。あと、ジェニファー・コネリーからのエリザベス・マクガヴァンが無限にかわいい。チューズデイ・ウェルドもダーラン・フリューゲルも良い。『ウエスタン』のCCといい、レオーネとは好みが合うな。
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