じい

罪の声のじいのネタバレレビュー・内容・結末

罪の声(2020年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

原作未読ですが、恐らく小説向けであろうと推測される素材を巧みな脚本や編集で素晴らしく映画的に映像化した作品だと思いました。
序盤、別々の場所で2人がそれぞれに事件の足取りを探っているのが1点に巡り合う場面への流れがとても自然でした。

確かに会いたい証言者にスムーズに会えてしまえてサクサク証言が取れたりの辺りは、ま、映画ですもんねと思わなくもなかったけど、後半3人の子供達の人生に焦点をあてた物語運びはとてもエモーショナルで切なくて胸に迫ってくるものがありました。

特に弟の聡一郎の初登場シーンの描き方は素晴らしくその後語られる彼の壮絶な半生も、宇野祥平さんの名演によって説得力が増していました。
聡一郎が背負ってきたもの、そして星野源さん演じる俊哉の後ろめたさとの対比もきちんと描かれるところなど、全体的に人物描写の丁寧さが作品を単なる謎解きミステリーに終わらせなかったのだと思います。

小栗旬さんの主演としての華、新聞社のチャーミングな上司2人♡も素晴らしかったです。
そして、豪華で贅沢な証言者や犯人グループの皆さん、チラッとしか出ないそれぞれの配役にも確実に日本の映画界、ドラマ界を支えてきた人達が起用されていて、しかもその扱いがぞんざいではなくて、そういう所にも丁寧にものづくりに取り組む姿勢が感じられました。

良作だと思います。
じい

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