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罪の声のALLORAのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
3.5
リアルタイムに『グリコ・森永事件』を体験していた年代としては、非常にそそられる題材で、劇場にてトレーラーを観た時も観たい!と素直に思ったのだが、個人的にどうしても小栗旬という役者の演技が苦手で、どう演じるのか想像出来てしまい劇場公開時には見送った。
AmazonPrimeにも随分前から上がっていたのは知っていたが、先に挙げた理由で観るのを躊躇っていたが、本日時間が有ったので鑑賞してみた。

フィクションとわかっていても、『テープの声に使われた子供達の人生』という目線での話の組み立てには新鮮さと驚きを感じつつ、胸がえぐられるリアリティが有った。

小栗旬と星野源のキャラクターの性格の差というのを、取材先に向かう車内の会話や仕草で鮮明にしていた点も面白かった。
曖昧に話を終わらせず、ちゃんと最後まで描ききっていた構成には、本当に『グリコ・森永事件』ってこうであって、実際に犯人をイギリスで追い込んだのでは?と錯覚するほど見事だった。

結局、今の日本の変な部分というのは、60年代の学生運動から脈々と続いているのがよくわかる映画だった。
左の人ってのはいつの時代も『自分は正しい』と思い続けて、どんな事をしても自分の主張を通そうと主張だけを連呼し続ける。
最近の色んな出来事を見ていても、昔と何ら変わってないんだな、と感じる。
そんなリアルな事をふと考えてしまうほど、映画としては素晴らしかった。

だけど…やっぱり小栗旬は小栗旬だった。
私の頭の中で想像してた演技のそれ以上でもそれ以下でもなかった。想像のまま。
そこがこれ以上星が加点出来ない理由。
やはり私にとっては小栗旬は『どうしても観たい!』と思わせる役者では無い。
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