ニシカ

罪の声のニシカのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
4.0

「35年経った今やからこそ 深淵から苦しなって口開く人間がいるかもしれんやろ」




ど く い り き け ん た べ た ら 死 ぬ で


関西で生まれ育ったおっさん・おばさんには記憶があるか無いかの年頃の事件で、TV・新聞では連日ニュースが取り沙汰され、スーパーや駄菓子屋に置かれたお菓子は毒入り混入回避によるビニール包装の強化が始まり、電話ボックスにコーラやキャラメルが置いてあったとしても青酸ソーダ入りかもなので触ったりしちゃダメよなんて言い聞かされた。

一橋文也「闇に消えた怪人(1996)」
宮崎学「突破者(1996)」
2ちゃんねる 時効直前に犯人と思われる"1さん"による告白の書き込みレスの騒然(2000)
そして本作の原作
塩田武士「罪の声(2016)」

関西人には気になる事件で関連の話題作はそれぞれのタイミングで読んだり、ROMったりしたもんだ。

そして関西で社会に出た頃、会社にいた目が一重のおっさん達からは事件当時はよく職質を受けたもんだよなんて話を聞いたこともあったなぁ。


さて、

国内初の劇場型犯罪と言われたグリ森事件で使われた"子供の声"の主に焦点を当てる。彼らが生きていれば3〜40代の現役社会人で何処かですれ違っている可能性だってある。35年の月日は事件によって闇に消えた人・消された人かもを知る者達を語らせ、事件の影で人生を失った人々に思いを馳せさせる。

犯人は誰なのかという観客の関心は、巧みな物語と構成により事件に関与させられ罪の念を背負う"テープの声"の子供達の未来の果てへと誘導させられる。時効を向かえども罪の犠牲者に苦しみの終わりはあるのか。豪華役者陣による見応えと原作の見事な映像化、稀代の脚本家による重厚な内容を2時間超に纏め上げた構成力が光る。


見事な映画化だった!
ニシカ

ニシカ