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ストックホルム・ケースのnaoのレビュー・感想・評価

ストックホルム・ケース(2018年製作の映画)
4.0
マーク•ストロングの長髪が新鮮。
極限まで追い込まれたとき、犯人に共感が芽生える心理状態は不可思議。といってもイーサン•ホーク演じるラースは、割と穏やかな手法で人質に接するので、感化される気持ちが分からなくもない。ストックホルム症候群の名の由来となった事件の話。元となった事件では、被害女性は犯人の1人と結婚した。

特に人質を用いての交渉戦の場合は、犯人は大抵好んでする訳ではない。イーサン•ホークはどんなに悪いことをしていても、自然と応援したくなる雰囲気がある。ノオミ•ラパスによる人質役の演技も素晴らしかった。恐怖、怒り、のちに共感。多面な表情を見せてくれた彼女のおかげで、この作品の深みが生まれている。

難しい話だと思った。犯人に共感を示すことで危害を加えられることを避けるのは当然の自衛行為。大切なのはそれをただの精神的な疾患として扱うのではなく、患者が置かれた状況を考慮に入れた上で、それが自衛行為だったと認識させることだ。自分の感情と混同しやすいからこそ難しい。このような事件の後には日常生活を取り戻してほしいと思った。

これと反対にリマ症候群というものがある。これは犯人が人質に共感を抱くというもののよう。

また、ストックホルム症候群はこうした非日常的な犯罪現場のみで発動するものではなく、恋人間や家庭内でも十分に起こりうるということを念頭に置いておかなければならないとも思った
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