ワンコ

ミアとホワイトライオン 奇跡の1300⽇のワンコのレビュー・感想・評価

4.0
【人間の本質】

この缶詰狩りというヤラセのトロフィーハンティングについては、前に何かの記事で読んだことがあって、フィクションの映画作品とはいえ、映像になると、悍(おぞ)ましさが増すなと思った。

動物を殺害し、獲物と写真を撮って、どんな快楽を味わえるのだろうかと腹立たしくなる。

(以下ネタバレ)

映画の前半は、ミアの判断力に欠ける行動にイラっともするが、ライオンが、あんなふうに人間になつくことがあるとすると、それは奇跡的なことではないのかと思ったりもする。

弟のミックが象を操る感じもなんかかっこ良い。
人間と上手くやれなくても大丈夫だよとアドバイスしてあげたくもなる。

後半のチャーリーとの冒険譚は、自然保護区に入って行く場面で胸が本当に熱くなる。

この作品の背景にあるのは、無意味なライオンの殺害だが、実は、僕達人間は、食料にするためとか、理由をあれこれ付けて、動物の多くの種を絶滅に追い込んできた。

危機に瀕しているという点で言えば、象牙のための象狩りもそうだ。

最近は、個体数は回復したとはいえ、クジラも激減していた。
鯨油を取るために、米豪などが過度に捕鯨したこともそうだが、近海から離れ遠洋捕鯨を行った日本にも大きな原因がある。

何か利用目的がなくても、温暖化で生息地が脅かされるケースも多くある。

トロフィーハンティングは、人間の最も醜い部分だと思うが、それを考えるだけに止まらず、僕達は様々なことに知恵を絞らなくてはならない時に来ているのではないかと思う。

余談だが、ある動物学者の人が、実は、動物自身として絶滅を免れないこともあるという話をしていた。

肉食動物は、狩りの70%から80%が失敗に終わるのだそうだ。そして、草食動物が増加傾向にあるのに対して、肉食動物は安定的に食料を確保できなくて、もともと個体数の減少傾向や絶滅傾向が高いのだそうだ。

まあ、そう云う自然の摂理は置いといて、無意味だったり、人間の都合で生物を絶滅に追い込むようなことは無しにしたいものだ。
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