フジタジュンコ

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のフジタジュンコのレビュー・感想・評価

3.8
めちゃくちゃきれい!かわいい!おしゃれ!!

映像作品を雑誌に見立てるという発想がとにかく素晴らしく、すべてのシーンが左右対称、ときおり色づく場面の鮮やかさ、切り取られた構図がことごとく美しく、"眼福"以外の言葉がない。アニメーションでなら成立しそうな世界を実写映像でも実現していて、どうやって撮っているのか、メイキングが見たくなります。
とはいえ、ウェス・アンダーソン作品は初視聴でしたので、予習必須の作品だとも思いました。映像は限りなく美しく、どこをどう切り取ってもビシっと決まってるグラフィック作品そのものなのですが、じゃあ映画として面白いのか?と問われると「そうでもない」というのが正直なところです。グラフィックや構図が美しい、楽しい、きれい、だけの2時間はやっぱりしんどいのですよね…学生運動については、5月革命をモチーフにしているのであのエピソードに込められた皮肉などは理解できたのでクスッとしましたが…ただ、エンドロールまでとにかくキマってるんです。かっこいいんです。この美しさの前ではキャラクターもストーリーも大した意味がないので、「見る」だけで正解かもしれません。円盤化や配信になったらまた自宅でじっくり見たいです。吹替だとまた印象が変わるかも。こういう作品には字幕はとにかく野暮ですね。

BESTIAで見ましたが、音楽も迫力があって非常に良かったです。これはポップコーンバリバリいわされながら見る気がしなかったので、プレミアムシート購入で札束で殴るスタイルで臨みましたが、平日のレイトなのでそもそも10人くらいしか観客がいませんでした…w