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初恋のgenのレビュー・感想・評価

初恋(2020年製作の映画)
3.9
死んだ気になりゃ、なんだってできる。

死を覚悟した元ボクサーが、ひょんなことからヤクザ絡みの大問題に巻き込まれていくストーリーを独創的な演出と個性あふれる役者達が面白おかしく描く。


銃を持ってる相手に刀で挑むあたりは流石です。
ヤクザは常に命捨てる覚悟で生きてる生き物だって事を改めて実感。古き良きヤクザって感じで嫌いになれない映し方が三池監督っぽくて好き。


ベッキー は感情の波が激しい役回りだったから印象に残る。あの死んだような表情や猟奇的な演技は、様々な経験をした彼女だからこそ表現できたんだろうな。新たな彼女を観れてよかった。

染谷将太さんの演技は本当に役が憑依してるように凄みを感じる。人を殺めていくことで表情が段々とイカれていく変化は堪らなく面白かった。

キスシーンやキュンキュンするような恋愛的描写が描かれていないので、このタイトルは観終わってすぐには府に落ちなかった。しかし時間が経つにつれてなんとなく繋がってきた気がした。
ヤクザの人たちは情に熱くて義理堅く、仲間内でもイザコザがあると殺し殺されてしまう宿命にある。それがこの瞬間瞬間を懸命に生きて命を燃やしているということ。そしてそんな濁流の中にいた2人は気づいたら惹かれ合っていた。

ラストシーンは言葉は無くとも、温かくさせられる。普遍的な恋愛シーンは無くとも斬新な表現の仕方で映画を通して初恋という言葉を象徴している作品だった。
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