nyasuke33

パリに見出されたピアニストのnyasuke33のレビュー・感想・評価

3.8
冒頭は「街角ピアノ」的な風景。マチューのピエールとの出会いはまるで運命のよう。サクセスストーリーの王道で、この世の中、未来の明るくなる物語はやはり必要だと思う。
初めは、譜面も読めないような者がいきなり頂上を目指す、というのが非現実にも見えた。そこまでマチューに固執するピエールの事情もはっきりしない。展開が進むにつれ、家庭内の不幸が見えてくるものの、人生をかけるようなピエールの行動には違和感があった。
それでも、やはり成功を応援せずにはいられない。コンクールに至るまでに、マチューには数々の壁にぶち当たる。精神的な未熟さが引き起こしたこともある。そのたびに、親のような気持になって「頑張れ!」なんて心の中で言ってしまった。大体の展開がわかってしまう作品だが、終始ハラハラドキドキする。だから映画は楽しいのだ。
最後前髪を下げた彼は別人に見えたが、ぎこちない挨拶はやはりマチューその人だった。
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