品川巻

幼い依頼人の品川巻のレビュー・感想・評価

幼い依頼人(2019年製作の映画)
4.5
目がパンパンに腫れてしまった。恐らく今年一番泣いた。
といってもこの涙は『ニュー・シネマ・パラダイス』というよりは、『ライフ・イズ・ビューティフル』や『チョコレートドーナツ』で流すものに近くて、救いはあれど本編のほとんどの時間が辛すぎるので、万人にお薦めできる自信はない。

イ・ドンフィという主演俳優さんの演技を初めて観たけど、今まで観てきた「泣きの演技」の中で一番自然で好きかもしれない。彼が嗚咽する度にこちらも釣られてしまって、呼吸が整わなかった。

弟を守るために虐待母のサンドバッグになり続け、自分が生きのびるために虐待母の隠れ蓑になることを選んだダビン。
ストッキングに包まれた母親の足に踏まれながら命を乞うシーンで、もう私の心は死んでしまった、、

冒頭の入所面接での「見殺しにした傍観者に罪が課せられるか」という質疑応答が、のちのちグビンの虐待を見て見ぬ振りする近所の大人たちに繋がるところで鳥肌が立つ。
そして親の不在や暴力が数珠つなぎのように受け継がれていってしまう事実も救いがなかった。どんな暴力にもきっかけがあるのかもしれないけど、何かを理由に許される暴力なんてない。

シェルターもない。大人は助けるフリだけ。
信じられるのはゴリラのみ......
品川巻

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