アラシサン弐

はちどりのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
3.9
社会派でありながらも、ガツンと殴られたような感覚というよりも、後からジワジワと余韻が湧いてくる感覚がある作品で、作品事態が終始纏ってるローテンションな雰囲気も相まって、パラサイトと対になるような映画だと思った。

多分、自分も味わったことがあるんだろうけど、うまく言語化できない、けれども普遍的で共感は出来る、不思議な感覚を覚える映画。

彼氏とイチャついたり、後輩とカラオケ行ったり、友達と万引きしたり失敗して喧嘩したり、どこにでもある思春期の少女の日々から韓国の社会問題が見えてくる。

学歴至上主義を押し付けてくる学校、家父長制によってグラつく家族、家柄格差によって離れさせられてしまう繋がり、そして急速な経済成長によって巻き起こされてしまう惨劇。

様々な社会問題が羅列されている中で、それらに立ち向かったり説教臭い表現をする訳でもなく、あくまで少女が過ごす日常にどのような不安が生まれるかで見せてくるのが凄い。

10代の不安定感の描き方も中々に変化球で観ていて飽きない。
ムカついたことがあった後にクラブ行って煙草吸うとか大人からしたら想像出来ない行動で面白い。

少女の周りで良い事と悪い事が順番でやってくるのも、ある人物の「良い事も悪い事もあるけど人生は不思議で美しい」という言葉を象徴しているようで良かった。
アラシサン弐

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