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はちどりのkoheiのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.8
2020.6.21再見
やはり大傑作。若草物語と本作が上映される世界がやってきてほんとうによかったなと思う。14歳の少女の「浮き沈み」としか言いようがない心の揺れ動きが非常に鮮明に映し出されていて、ときおりその振幅が社会と触れ合ってしまう瞬間には身の毛がよだつほどの感動を得た。部屋の階を間違えるくらい画一的で普遍的な団地で、地団駄ダンスをする彼女に届いた一個の小包。どこにでもあるけどあそこにしかなかった大切で苦しい記憶。自然すぎてもはや言及する必要はないけれど、女性の描き方の多彩さに驚く。

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試写にて。1994年、経済成長にヒビが入り始めた韓国で14歳の少女ウニが見たあらゆる相反するもの(人の愛/怒り、世界の美しさ/汚さ、感情の高鳴り/落ち込み)。表現のミニマルさにしてあまりにも雄弁に彼女の心の機微が描かれていて、どこまでもパワフルでか弱かい映画であり、今の日本にもきっと響く内容だろうと思った。『82年生まれ、キム・ジヨン』を早急に読まなければいけない。
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