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はちどりのアカウント変えますのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.7
下手なこと書けないな、だから記憶保存のためのメモだけ残しておきたい。あまりにも考えが多い。

まず、自分は監督のインタビュー記事をネットで見たり、ユリイカを読んだりしてから映画を見たけれど、たぶんこれは予備知識なしに見たほうが楽しめるような気がする。

この映画は「表情」が印象的な映画だった。

特に、母を押し飛ばした後の思わぬ反撃に面食らった父の間抜けな顔が忘れられない...家父長制の中の男性は、女性にミラーリングされると本当にすぐに狼狽する。やり返されると思ってないから。あと、(命に関わる絶対的な恐怖である)兄からの暴力を「喧嘩」のひとことに集約した両親へのウニの絶望の表情も脳裏に焼き付いてる。あの絶望、すごくわかるし、そういうタイプの絶望に自分も週1以上のペースで出くわしてる気がする。

韓国の小説や映画を見て、「全てに身に覚えがある」といつも感じるけれど、本当に日韓の家父長制は酷似してる。監督ははちどりをフェミニズム映画にするつもりはないと言っていたから、こちらもその意図は汲みたいと思うけど。

あとは...そうだな...監督が「女性がたくさん出ているのがいい」という感想を観客から聞いて驚いたって話があったけど、うん、そう。ここまで女性が主権を持った物語って実はない。プロットの中で彼女として、妻として、母として、娘として、時に過剰にもてはやされ、時に悪役にされ、時に殺される。そんな役割を常に背負わされてきた女性たち。ストーリーオブマイライフの冒頭で版元の人間が「主人公は結婚させるか殺せ」って言うところにも如実に現れてるけど、プロットの中で「女が死ぬ」ことに関して本当に考えることが多い(松田青子さんのワイルドフラワーのやつ参照)

そしてユリイカのバーニングと村上春樹の論考にも、村上春樹のファルス中心主義を批判する形で似たようなことがかかれていたので、そちらも参考になる。

うーーんまとまらないけど、本当に凄い作品だったことは間違いない。