びちょんくん

燃ゆる女の肖像のびちょんくんのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.0
男の人がほとんど出てこない。そしてBGMがほぼない。海の音とか焚き火の音とか、自然の音が心地よくて、途中寝そうになった。でも、その静けさの中で、マリアンヌとエロイーズの感情がどんどん深まっていくのが、めっちゃ伝わってくるから、見終わった後は、この静けさが逆に良かったなって思った。途中ほんまに眠かったけど。

エロイーズがオルフェウスの物語を読むシーンとか、二人が見つめ合うシーンとか、美しかった。特に、炎越しに見つめ合う二人は、なんか神々しくて、絵画の中にいるみたいだった。全体的に絵画っぽい。
あと、エロイーズの気持ちがどんどん変化していくのが、表情とか視線とかで繊細に描かれていて、とにかく『視線』が印象的。というかオルフェウスの「振り返ってはいけない」がめちゃくちゃ重要。

最初に白い服着たエロイーズの幻影?をみたとき、振り返らなかったから、マリアンヌは現実でエロイーズと会えたのかしら。でも最後「振り返ってよ」で振り返ったから…ってことなんかな。マリアンヌは画家として振り返っちゃったのね。だからこそ別れの瞬間が描けたんやろうけど。その代わりエロイーズには会えない、と。切ない。

エロイーズの絵と再会する場面、隣には子どもいて、あー幸せに暮らしてたらいいなーって思ってたら28ページで泣いた。
そしてラスト、エロイーズが思い出の曲を聴いて涙する横顔は美しかった。エロイーズは振り返らないことを選んだのね。でもずっと心の中にはマリアンヌがいるんだろうなー。なんかめっちゃ泣いた。

ただ、脇毛で空を飛ぶシーンは謎。本当に飛んだわけじゃないけど、それでも唐突に何?あれは何を意味してたの?あと股間に鏡置いて自画像。なぜそんなところに鏡を…??
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