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バクラウ 地図から消された村のAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

4.7
「グローバル資本主義的な強者」vs「古き伝統社会、もしくはローカル的な弱者」
これは昨年観た前作「アクエリアス」と共通の対立構造。

ベトナム戦争でのベトコンを想起させるようなレジスタンス映画。

クライマックスの暴力描写は文句なしに引き込まれた。
唐突に事が起き、一瞬で決着が着く。死や暴力と日常が近いがゆえの、逡巡の無さ。
ネイティブ黄色人種のアイツが刃物でメッタ切りにする様は「セデック・バレ」、
村長夫婦が見事なライフ裁きで敵を返り討ちにする様(本作で最もアガる瞬間の一つ!)は西部劇の作品群を
彷彿とさせ、素晴らしい活劇になっている。

画面の端から少しずつ画像が切り替わる場面転換の手法、顔どアップ演出、等々、現代のハリウッド映画ではあまり見られない語り口が、違和感や懐かしさと相まって独特の味わいになっている。
村人それぞれの顔に刻み込まれた深いシワや表情を見るだけでも楽しめる。

(ただ、終盤の盛り上がりシーンまではスローなテンポ、且つ説明されない設定が次々と登場する。人によっては置いてけぼり感を抱く可能性あり。)

ポスターに『見事なまでに狂っている』とあるが、少なくともバクラウの村人達は狂っていない。
自分達の暮らしを脅かす外敵と戦ううちに、残虐に成らざるを得なかったのだろう。
一連の戦いのあと、生々しい血糊が飛び散る屋内を掃除しながら村の女性が
「この闘いを、そのまま語り継ごう」と言っていたのが印象的だった。
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