るかれ

家族を想うときのるかれのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
4.9
あまりにも残酷でエンドロールに入った時は思わず呆然としてしまったが、よく考えてみればそれが現実なんだろう。

家族全員がお互いのことをそれぞれ想い合っているけれど、だからこそすれ違ってしまっている。セブの父親に対する愛情が切なくてとても辛い。

また、業績第一の監督者、何時間も待たないといけないほど混み合っている病院、病院の席に座るホームレス、息子の仲間や夜の公園に集まる不良たちなど、社会の歪みや労働者階級の姿が丁寧に描かれていた。セブに対して熱く語りかける警察官の存在がこの映画の唯一の救いかもしれない。事務的に話すのではなく、個人として語りかけてくれる彼のような存在に助けられる人もきっといるに違いない。

いつの日か彼らが前のような家族に戻れたらいいな。
この監督の他の作品も観てみたい。
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