だいごろー

家族を想うときのだいごろーのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
4.2
@ヒューマントラストシネマ有楽町

観た後に頭を抱えた。年末になって、今年のベスト級の作品が続いてトップ10どう決めれば良いんだ…

『わたしは、ダニエル・ブレイク』に続く、怒れる監督ケンローチの最新作。御年83歳。引退宣言を撤回してまでも撮りたかった今作は、社会に対しての、渾身の告発だった。

ある4人家族の物語。父親はフランチャイズの宅配会社で働いている。母親は訪問ヘルパー。息子は反抗期で娘はまだ幼い。

誰も不幸にならないようにと祈りながら観たが、それでも容赦なく突きつけられる現実。真っ当な自己責任論を振りかざすオーナーに対して奥さんが放った言葉に多少救われたが、後半は苦しかった。

なぜこうなったのか、絶対に間違っている社会の仕組みに対して「ノー」と高らかに叫ぶケンローチは、絶対に今の時代に必要な監督だ。
この家族は他人事ではない。日本にも絶対にいる。
人はなぜ生きるのか、なぜ働くのか、なぜ他人同士が結婚し家族を築き、同じ屋根の下で暮らすのか、根源的な問いを投げかけられた。間違いなく今の時代を生きる私たちは観るべき映画であるし、家に帰ったら家族を抱きしめるべきだと感じた。傑作。オススメです。