予備知識と期待ゼロで見て、意外と引きつけられた。もちろん、極北の風景は素晴らしい。それ以上に面白いのは、劇映画仕立てのドキュメンタリーであることだ。エンディング・クレディットを見ていると、俳優と登場人物の名前がほとんど同じであるが分かる。この趣向はドキュメンタリー映画では一般的で、古くはロバート・フラハティなんていう巨匠がいたりするし、昨年アンスチテュフランセで観たギョーム・ブラックの『宝島』もよかったな。ただ、こうした有名作に比べるとヒネリには欠けるかな。宗主国文化と植民地文化の相克などは定番だったりして。登場する現地人たちはモンゴロイドの顔立ちで、家の近所の爺さん・婆さんや小僧が出ているような印象。