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鵞鳥湖の夜のペインのレビュー・感想・評価

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)
4.5
黒沢清監督が指摘していた通りベルトルッチ、鈴木清順、ゴダールが混在しており、そこにカーウァイ要素(※ただネオンカラーの色使いもカーウァイほどポップでお洒落ではない)と、初期北野武や黒沢清及びレフンやザラーを思わせる突発的且つ重たい暴力がのしかかる。

あと作品単体で個人的に何となく思い浮かべたのはオーソン・ウェルズの大傑作フィルムノワール『黒い罠』。

まぁそうやってそこそこのシネフィルであればこれでもかと色んな要素を感じ取れると思うし、実際そういう見方に必然となってしまう作品で、それはそれでいい。

というわけで同監督の前作『薄氷の殺人』より問題提起云々は鳴りを潜め、とにかくディアオ・イーナン自身の“撮りたい画”が更に優先されまくった視覚的快感に満ち満ちた作品で、非常に閉じた観る人を選ぶ作品だが、好みとしか言いようがない1本。

本作然り、ザラーの『ブルータル・ジャスティス』然り、昨年公開の反時代的作家によるバイオレンスノワールではスマホ📲をぶち壊すシーンがあって、こんなガラクタに囚われるなっていう監督からの教示のような気もしてくる。

P.S.
フー・ゴーの精液を吐き出すグイ・ルンメイ。
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