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鵞鳥湖の夜のyksijokiのレビュー・感想・評価

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)
3.5
中国版ウォンカーウェイって感じで中々雰囲気のある映画だった。映画館で観てたら結構刺さってたと思う。とにかく陰鬱な雰囲気と中国の夜の街と、ライティングがすごく印象的な作品だった。傘に鮮やかな赤が広がるシーンはとても印象的だった。牛肉麺食べたい。


前半やや中庸なところがありつつもストーリー自体は後半にかけて暴力性の唐突さとともに面白くはなっていった。ただ、結局どうしたいのかよく分からないまま着地してしまって面白くなりそうな手前でブレーキをかけ続けてた感がしてしまった。

音楽もなく淡々と進んでいく逃走劇という感じでハラハラというよりは穏やかさが目立った。主人公の感情表現が無さすぎて最後まで心中がわからないままだったし、ヒロインもどうしたいのか不明なまま終わってしまった。てっきり恋愛要素が入ってくると思っていたのでそこがちょっと興醒めしてしまったり。

独特のテンポ感とわかりやすい繰り返しと、北野武並みに突然のバイオレンスとが交差していくのは良かったけど、あんまりにも暗いのと味方と敵の区別がつかなすぎてアクションシーンも何が起きているのか理解できないところが少々あったり。

逃げ込む先が湖ってのがオシャレというか、逃げ切れない前提で進んでいくストーリーの美学みたいなものはとても素敵に感じた。ちょいちょい入ってくる音楽も◎

中国の街並みのネオンとか洗濯機とか、窓に反射する灯りの色味とかとても良かったし、湖畔での水浴嬢たちの白いハットが印象的だった。水浴嬢ほんとにいるのかしら。

キャスト★3.7
ストーリー★3.4
プロット★3.4
バイブス★3.3
音楽★3.7
映像★4.0
演出★3.4
全体★3.5
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