ShinMakita

シチリアーノ 裏切りの美学のShinMakitaのレビュー・感想・評価

1.8
1980年、パレルモ。ヘロイン商売で莫大な利益を上げていた〈コーザノストラ〉は、収益を巡り幹部会内で分裂の危機に瀕していた。主導権を握るパレルモ派ボンターデ・ファミリーに近しいトンマーゾ・ブシェッタ〈ドン・マジーノ〉は、対立勢力であるコルレオーネ一派の不穏な雰囲気を察知しながらも、平和な生活を望み後妻と幼い子たちを連れてブラジルに渡ってしまう。前妻との子であるアントニオとペネディットを残していくのが不安だが、親友であるピッポ・カロが面倒を見てくれるはず…だが、ブシェッタの目論見は完全に外れてしまう。コルレオーネ一派のボスであるサルバトレ・リイナがカロを抱き込み、ボンターデに総攻撃をかけてきたのだ。ボンターデ本人のみならず、その家族と仲間は皆殺しにされた。ブシェッタの家族も例外ではない。息子たちの死を嘆くブシェッタだが、彼もまたリオデジャネイロで当局に逮捕され、イタリアに送還される憂き目に遭うのだった。

ローマで収監されたブシェッタは、マフィア撲滅を誓うファルコーネ判事から尋問を受ける。彼の話に感銘を受けたブシェッタは、リイナたちを倒すため密告を決意。コーザノストラの内幕を洗いざらいブチまけて、未曾有のマフィア逮捕劇を引き起こしてしまうのだった…

「シチリアーノ」

以下、ネタバレの美学。

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東映の実録ヤクザ映画に慣れ親しんだ身にはなんとも懐かしい風味の作品。密告マフィアといえば「バラキ」が有名だけど、このブシェッタの話はもっと規模もでかく経過も長いのです。その複雑な顛末をテンポよく描いているのがまず高得点。動物園のようなパレルモの法廷シーン…そこでのあまりに幼稚なやりとりは何か笑ってしまうし、有名なファルコーネ暗殺のショッキングな描写にはドキッとさせられるし、とにかく飽きません。願わくばリイナはギッタギタにしてブッ殺して欲しかったけど、実話だからそうもいかないか。同じく密告者となるコントルノのキャラが面白いのもポイント。この手のジャンルが好きなら、オススメです。
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