ちょろもち

マイリトルゴートのちょろもちのネタバレレビュー・内容・結末

マイリトルゴート(2018年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

モルカーの監督作ということで視聴。
『狼と7匹の子ヤギ』をストーリーのベースとしたストップモーションアニメ。
フェルトで作られたキャラクターは魅力的。
ストーリーもビジュアル面もグロテスクだが作り込みが丁寧で面白かった。

狼が子供に害を為す存在の寓意である描写はショッキングで、狼の腹を割くなどの直接的なグロ描写よりも心理的にきつかった。
母ヤギは子どもを守る存在の一方、他人の子を誘拐したり家の中を片付けることがなかったり子どもに真実を見せないなど、問題行動を繰り返しており不穏。
母ヤギが子どもを外界と隔絶した世界に閉じ込め、トラバサミによって外界からの働きかけを封じているラストは、母ヤギもまた子どもを害する存在であることを明かしていてバッドエンドに思える。

ヤギが服を着て立って歩き言葉を話す、おとぎ話のような設定の一方、ナツキの父親はスマホを持ちスタンガンで倒され、空にはヘリコプターの飛ぶ音が聞こえる。リアルとファンタジーが急に混ぜ合わされ、故に父親のしている暴力が生々しく感じられてきつい。
狼の寓意が示されたことでヤギも寓意の可能性が出てくるが、そこについては作品内で触れられないのであくまで可能性のまま終わる。多分ヤギは寓意とかなくヤギという解釈で良いんだと思う。

童話を斜に構えた解釈をするのは「本当は怖いグリム童話」の流行りと同じような軽薄さを感じて、自分は元々あまり好きになれない。とはいえ、この作品は描写が丁寧でストーリーを面白く伝えようとしている。独りよがりな感じがない。

面白いけどメンタル的にきつい。
きついから好きではない。