過去作日本上映もあったらしく新作はなぜか松尾芭蕉関連らしい（Le Voyage de Bashô）、70年代からドキュメンタリーを撮っているディンドの火星移住を目指す人々を追った作品。

劇映画のSFに触れることが多いと2001年にゃ宇宙旅行が当たり前なんて認識はなくても『惑星ソラリス』『イカリエ-XB1』とかは永劫ありえぬことという認識が完全に抜けている。

例えば距離でこうなる
「地球1周は約4万km（つまり1万里と覚えやすい）。月へは約38.44万km（地球10周、10万里）。最接近時の火星へは7,528万km（月まで98往復）」

まずは、移住を望む夢想家たちの言でも100年単位の話が頻出し驚かされる。また、火星では塵が入るだけで塵肺となり命にかかわる。地下氷から水をうることを即座にせねば植物を用意してテラフォーミングなんてこともできないとか要は夢のまた夢…なんだけど変な人たちの話が面白い。

火星にゃ行けないからと環境の近い岩石の生命を調査する職を選んだ女性だったり、今世紀の課題は「火星はほんとに赤かった」とか言う若者だったり、既に異星人じゃないか？って顔のマーカス君って黒人の学生だったりする。

しかし、これだけじゃそこまで楽しめないとしてその都度惹起し脳内に浮き上がってきた火星移住に見る色んな側面だ。

千年以上の未来を見据える作業のようでいて地球化する過程を観察することは太古の起源を探ることでもあること（太古と未来）。白人の歴史的な性質から見る他国への侵略（白人の特性）。夢想家にとっての理想郷は西部のそれと同様に発展への新天地でも辛い現実からの逃避先でもありうること（目的の違い）。大切な家族などと別れるのか、また向こうでの人間の繋がりかたが個人主義ではなくなる云々（人間関係）。そして、現実を見据えている人は「地球環境を維持し改善できなければ火星行っても資源を滅ぼすだけ」というようなことを言っていた（環境問題）。

あっ、テレビ電話とか時間差すごいらしいから火星に行った人とはメール連絡が現実的みたいよ（笑）

お部屋のコンセプトにする。

• #다시볼영화

火星移住計画の実現を夢見るアメリカ人の方々にインタビューするドキュメンタリー。
火星の開拓について語るのとき、幾らかの人たちは、自分たちの国で起きた先住民に対する侵略の歴史を紐付けて想起するということが印象的だった。

火星には生物がいないはずだからあのときのような争いごとをしなくていい、火星に生物がいたらあのときのような悪事は起こさないでくれよな……などなど。
日本に暮らすわたしたちは火星移住計画のことを考えているときに、自分たちのやった侵略行為がまた起きることを心配したりするかな。