ダイゴロウ

7月の物語のダイゴロウのレビュー・感想・評価

7月の物語(2017年製作の映画)
4.3
映画館にて鑑賞。
ギヨーム・ブラック監督作品。

独立した短編「日曜日の友だち」と「ハンネの革命記念日」の2部構成の作品。
両短編とも本当に素晴らしかった…。

同監督の『女っ気なし』や『みんなのヴァカンス』にも通ずるのですが、性欲の権化みたいな男が沢山出てきて、フランスって大丈夫か?なんてちょっぴり思う。
逆に自由奔放な気質が眩しくも映るんですが…。(エリック・ロメールの『海辺のポーリーヌ』や『緑の光線』でも同様の感想を抱いた覚えがあります。)

「日曜日の友だち」と「ハンネの革命記念日」の両作は、友人同士の対立が他人事と思えないほど生々しく描かれている点が特徴的で、物語に引き込まれる良いスパイスになっているように思われる。
クスリと笑えるシーンが多い点は同監督作品らしいが、良くも悪くも面白い経験をした2人が自然と仲直りし帰路を共にする、ロマンチックかつほっこり感の強い「日曜日の友だち」に対して、「ハンネの革命記念日」は、一見悪い男にハンネが振り回される映画かと思いきや、彼女の気質にも問題があることに気付かされ、物語の様相が一変する見事な作品。

性欲にまっすぐな男たちと、アプローチされることにまんざらでもない女たち。
どこか憎めない男女の、些細で滑稽だけど、どこか眩しい日常が楽しい傑作だった。