骨折り損

スペシャルアクターズの骨折り損のネタバレレビュー・内容・結末

スペシャルアクターズ(2019年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

自作自演の限界。

カメ止めにハマらなかった友達に、その当時感想を聞いたら、「自作自演感が強すぎて無理だった」と言った。僕自身はとても楽しめたのでいまいちその感想にはピンときていなかったけれど、今作を観てやっと言いたいことが分かった気がする。

確かに今作もどんでん返しは面白い。でも結局、話を伝える上での視点の違いを使った裏切りは、究極の自作自演であることを忘れてはいけない気がした。お客さんを誰の視点に立たせるか。それを決めるのは作者自身。その視点人物の情報量を決めるのも作者自身。ならば、そのキャラと一緒に新事実に驚くことに価値を感じるには、かなりそのキャラに感情移入ができていないといけない。

その点がこの映画には足りなかった。
まずテンポ。これがあまり良くなかった。
ほぼ全てのカットが数秒ずつ長い。それが数百カットと積み重なると、退屈がどんどんと膨らんでいく。同じ話でも全体であと20分切ったら、全然没入度が違ったと思う。ただそうなると、商業映画として短いが。

あと音楽やキャラクターの派手なコミカル感はハリウッドを意識しているのに、美術やロケ地が安っぽく見えて悪いギャップに冷めてしまう。特にエセスーパーマンの映像があまりにショボい。人が多い画でもヒキの画がなかったり、シミひとつない綺麗な壁に、新品のホワイトボードっていう取ってつけた感も、せっかくの作戦会議に興奮できない。とにかくカッコいいと思える画がない。

テンポの悪さと切り取る画のチープ感で、前半はかなり気持ちが作品から遠のいた。それでも見れたのは、やっぱりキャラクターが魅力的だし、ラストで盛り上がる展開もちゃんとわくわくできた。
ただ、裏切りの数が多過ぎて、見てるこっちが疑心暗鬼になりかけたのはどうなのだろう。どうせまた「うっそー」ってするんじゃないか。そう思い始めると、徐々に話がどうでも良くなることに気づいた。

裏切りはほどほどが一番。
骨折り損

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