鍛治のロワイヤル

ANIARA アニアーラの鍛治のロワイヤルのレビュー・感想・評価

ANIARA アニアーラ(2018年製作の映画)
3.9
考察好きなSFファンの琴線に触れるどころかブッ刺ささる作品だと思います。
僕なりに考えたのは、これは北欧社会の縮図なんじゃないかなと。
DV、整った教育体制、遭難の結果ではあるけど楽しみの少ない食事とか、データではそうでもないけどイメージとしての自殺の多さとか。
宇宙の暗闇をストレスの対象として描いているのも、寒くて日照時間の少ない気候と思えるし、お世辞にも若いとは言えない主人公が奔放に性を謳歌しているのもそう。
そんなところから、結局人間はどこへ行っても生まれ持った性分は変わらないし、立つ鳥跡を濁して逃げ出してもいずれツケとなって回ってくると言うことかなと思いました。
あと、スルーできないのがあの槍ですよね。
磔刑に処されたキリストのように死に体のアニアーラに突き刺されたロンギヌスの槍とも思えるし、アニアーラの航海を人生に例えると、脈アリだと思わせてぬか喜びに終わる片思いの恋のようでもある。
無学な自分にもアレコレと考えさせる興味深い逸品でありました。