ユウ

アイ・アム・マザーのユウのレビュー・感想・評価

アイ・アム・マザー(2019年製作の映画)
4.8
話の骨子自体はいわゆる基本三原則パラドックスだが、かなり面白かった。
ストーリー的にも、演出的にも、ネタ的にも。

世界崩壊後の(おそらく)地球で、シェルターに籠り人類種存続のために奮闘するロボットと、そのロボットに守られる人工子宮から生まれた最後の人類を描いた映画。
汚染されきった不毛の地とされる外界から一人の女性が助けを求めてきたことで、物語は進み出す。

この映画は登場人物と呼べるのが3人しかいない。
一人はタイトルにもなっているロボットAI、Mother
もう一人はロボットに育てられた娘Daughter
最後に外の世界から来た女性Woman
ちなみにこれらが名前である(!)

まあそもそも人類が滅んでいるため呼び分ける必要がないのだけど、名前ぐらいつけなよ!とはみんな思ったと思う。
幾度となく、母が「ムスメ!ムスメ!」と合成音声で呼びかけながらうろつくので。
かなりシュールであり面白みを感じるが、同時に人間性の欠如というロボットらしさを演出するファクターとしても機能している。

ラストの展開はアシモフ作品に慣れ親しんだSF好きでも溜飲が降る、カタルシスと物悲しさをない混ぜにした素晴らしいものだった。
ユウ

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