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営倉のTOTのレビュー・感想・評価

営倉(1964年製作の映画)
4.1
‪演者に密接して息詰まる手持ちカメラのシアターライブのような。
アメリカ海軍の牢獄で『フルメタル・ジャケット』的しごきシーンを永遠に繰り返しては人権が踏み躙られる様を風刺する、演劇とドキュメンタリーの融合。
絶対の命令、絶望の叫び。
軍靴の響きが耳をつく、終わらない一日‬の記録。
‪海軍の懲罰房に見たてた鉄条網の牢獄を廊下がぐるりと囲む小劇場の狭い閉鎖空間で、囚人兵士は蠢き、教官に言われるがままロボットさながら行進し、殴られては地を舐めて立ち上がる。
ジョナス・メカス自らが一緒に舞台に上がって収めた緊迫感満載の映像と残酷な編集、暴力的な音が恐ろしい‬。
‪ ‪ジョナス・メカスのいつも揺れるカメラの代わりに対象が、兵士が揺れて、人間らしさを剥奪されていく。
笑えばいいのか、震えればいいのか、とりあえず他作より眠気を寄せ付けない面白さ(寝息も聞こえたけど)。
監督の印象が変わる68分だった。
この短さもいい。‬
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