テレンス・マリック緒作＋『バベル』＋『ムーンライト』みたいな手触りで、良い意味で凄く裏切られた。あと最近の作品だと『ライフ・イット・セルフ 未来に続く物語』に通ずるものを無茶苦茶感じた1本。
個人的にこうしたそれぞれの人の人生が交差し、ひとつに集約されていくような群像劇テイストの作品は好物なので、それだけでも高評価になってしまう部分はある。
ただ正直、今の今まで本作を観るのを放置していたのは、河瀬作品初の原作ありきの作品とのことで少々不安要素があったからなのだが、これが見事に辻村深月原作モノならではのクセと、その更に更に上をいくクセの持ち主である河瀬直美のクセが上手く融合していた。
なんだこの映画、トリッキーすぎるだろ！と驚かされる瞬間多々。少なくともポスターのイメージだけでなんとなく観た人は度肝を抜かれるだろう。
そして言うまでもなく本作のMVPである蒔田彩珠さん。前半では超清楚な美少女にしか見えないのだが、あることをきっかけに後半はもうどう見てもやさぐれた非行少女にしか見えくなる辺り、その演じ分けは見事という他無い。
P.S.
ハスミンが河瀬直美を評して、“大島渚以来のタマ”と言った理由が本作を観てよくわかった。
