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朝が来るの010101010101010のレビュー・感想・評価

朝が来る(2020年製作の映画)
4.0
昨今のこの監督の動向を見ていると、改めて、お近づきにはなりたくない人だな…、と思う。それでも、(いや、だからこそ、なのかもしれないと、最近思うのだが)、いい作品があることも確かなのだから、何というか…苦笑してしまう…。

大切な人が失踪する、蒸発する、目の前からいなくなる…、というようなものを描かせると、河瀬直美という人は本領を発揮する。
それはもう、彼女自身の出自というか実存と切実に結びついているからなのだろう。

2時間超えの上映時間も、それだけのことはある、という大作。
原作はもちろんなのだが、脚本がやっぱり上手い。
産めない苦しみも、産んで引き離される苦しみも、痛いくらいに感じられる。
人生がガラッと変わり、人間がすっかり変わってしまうことがあるということもよく描かれている。
脇役の一人一人が、ちゃんと人生の厚み、奥行きを持っているのもいい。

最後に彼女が何度も言う「ごめんなさい」、そして息子にかけた言葉、表情…(その間に入る、車の走る音も絶妙…)、この人(母親)は、人として、すごい人だなぁと思う。
永作博美ってそんなに上手いとは思わないのだが、それでもたまらないシーンだった。

蒔田彩珠も、彼女の役者としての可能性の幅を、限界まで広げていこうとする好演だった。