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時として目が離せなくなるドキュメンタリー作品に出会う。本作はまさにそんな作品だった。
まず主人公が魅力的。85歳ながら二の腕は筋骨隆々。片方の視力を失いながらも眼差しは鷹のように強く野性味を帯び、そして優しい。
そんな老人は多摩川の河川敷に小屋を構え、捨て猫を十数匹養う為に干潟でアサリを獲る。
心地よく日光浴をする猫たちをみれば、老人との信頼関係がどれほどのものか知れる。
彼自身の生い立ちや来歴も驚くべきものだ。その事は現在のホームレスの彼の姿からは想像さえできない。ただ少しずつ経験だけに依拠しない彼の深い知恵と洞察が胸に響いてくる。
こういう作品を観ると動物愛護とか環境保護とか四字熟語で語りがちな事の薄っぺらさを痛感させられる。
彼は自然環境と一体で生活し、猫や鷹とも仲間として共生している。
誤解を恐れずに言えば、真にナチュラリストとは彼のような人物や生き方をいうのかもしれない。
刮目して見よ。ドキュメンタリーの傑作。
