あんず

カセットテープ・ダイアリーズのあんずのレビュー・感想・評価

4.4
これは、邦題に騙された~💦もっとポップな軽い感じの青春ラブストーリーかと勝手に思っていた。原題の『Blinded by the Light(光で目もくらみ)』の方が断然良いのに。

ボスと聞くと、缶コーヒーを思い浮かべてしまうけど、初めて知ったブルース・スプリングスティーンの愛称で、その人の曲が流れまくる🎵歌詞がストレートで力強く、グッと心に染みる。これは彼のファンには堪らない映画だろう。特に嵐のシーンは天候の荒れ具合と主人公ジャベドが初めてブルースに出会って心を揺さぶられ、音楽を通して自我が目覚めて行く様が歌詞と共に丁寧に描かれ、自分も追体験しているような感覚でワクワクした🎧️🎶たまに、私も音楽を聴いてハッとしたり、見ている世界が少し違って見える感覚があるから、なんか分かる。

ブルースに出会ってからの彼の変化も観ていて応援したくなる📢特にブルースを紹介してくれた友達のループスと差別に歌で対抗したり、学校のDJを乗っ取ってブルースを流したり、幼なじみマットのお父さんとイケイケな感じで道で一緒に歌っちゃうのが爽快だった。

移民への差別、貧困、父親との考え方の違い、友達や恋人とのスレ違い、夢と現実…問題山積みだけれど、自分の好きな道(文筆活動)を突き進むうちに道が拓けて来て、そんなに上手く行くもんかな~?と思っていたら、実際のジャビドの写真が最後に出て来て、そういえば最初に「事実に基づく」と書いてあったことを思い出した💡スゴい人がいるもんだ。

オリンピックでも、スケートボードの堀米選手は好きなことを突き詰めて行った結果、金メダルが取れたというようなことを言っていたし、大谷翔平選手も野球が好きで仕方ないようだし、開会式で演奏した上原ひろみも本当に楽しそうだった。結局、そういう純粋な想いが本人を成長させるだけでなく、観ている周りも幸せにするんだろうなと当たり前なようでいて、なかなか出来ないことに気付けた、台風前夜。天気だけは、映画のように荒れないで欲しいけど。
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