ボブおじさん

カセットテープ・ダイアリーズのボブおじさんのレビュー・感想・評価

3.7
ロンドン郊外で暮らすパキスタン移民の高校生ジャベド。偏見や人種差別、保守的で厳格な父親との確執など抑圧された毎日を送っていたが、1本のカセットテープで人生が変わり始める…
B.スプリングスティーンの音楽に影響を受けながら成長していく少年の青春ストーリー!

2019年の作品だが、この頃「ボヘミアン・ラプソディ」や「ロケットマン」など有名ミュージシャンの伝記映画が大ヒットしていた。

しかし、この映画はブルース・スプリングスティーンの音楽を扱いながら、原作者の体験を元にしたある移民家族のパーソナルな物語となっている。

もちろんブルース・スプリングスティーンの音楽は、その力強い歌詞も含めて重要な役割を果たしているが、特定のミュージシャンの伝記映画ではない。

閉鎖的な田舎町での生活から抜け出し、勇気を出して自分の夢を追いかける若者の物語である。

映画の中で、ジャベドが初めてブルース・スプリングスティーンの音楽を聴いた時に、体の中に稲妻が走り、嵐が吹き荒れる様が表現されていた。

1人のミュージシャン、あるいは1曲の音楽が、人生に大きな影響を与える事は、決して珍しいことではなく、誰にでも経験があるのではないか。

そう考えればこの映画は、特定の時代や国にかかわらない、普遍的な物語に思えてくる。

誰もが心の中に持っている、自分にとってのブルース・スプリングスティーンを思い出させる映画である。


2020年11月に劇場にて鑑賞した映画を動画配信にて再視聴。